AV好きすぎるAVライターとAV嫌いすぎるAV女優 case4th「AV女優はAVじゃない仕事をなぜする!?」

          

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AV好きすぎるAVライターとAV嫌いすぎるAV女優

AV好きすぎるAVライターとAV嫌いすぎるAV女優 case2nd「再び会ったライターと女優」

AV好きすぎるAVライターとAV嫌いすぎるAV女優 case3rd「AV女優にはある日突然、ライバルが誕生する!?」

 

AVライター葉隠美喜男(はがくれ・みきお)は、「ライブに行ったことがない!?」

「来月、ライブイベント、『CUTE BEAT SEXY ALIVE!』に出演決定しました!」とTwitterから流れてきたのは、推しではなく、「AVライターとして(←ここ重要)」注目しているAV女優の扉乃まくりちゃんのライブ出演告知だった。

AV女優が歌うというのは、実は、私が子どものころ、AVを観れなかった(観ていたけど)ころからずっとある。

最近だと、AV女優で大人気の女の子が勢ぞろいする、「目黒☆ユアカップ」以来、ユニット形式が主流となっている。

世の中のアイドルがそうなってそうで、流れに乗っかったわけだろうけど、自分自身、ロック、アイドルに限らず、「ライブに行ったことがない」。

そもそも、音楽に興味がない……学生のときは聞いていたかもしれないが、それは周囲が聞いているからあわせただけ。

私にはアダルトビデオがあったから。

前述の、「昔のAV女優の歌」というのは、レコード会社がお金余っていて、「AV女優にエロい歌をアイドルのパロディで出すと当たるんじゃない?」的な発想だったはず。

それが昨今は、AV女優が、カバーだけでなく、オリジナルを歌っているようだ。

レコード会社の思惑ではなく、「本人が歌いたいから」という活動。

ライブ動画がTwitterから流れているのを見ると、ファンたちは、ペンライトの大きいやつを振りながら、大声を出して楽しそうにしている。

「ライブじゃん、コンサートじゃん、大勢いるから逆に孤独じゃん」と、どうしてもその場所に近づくことはできない。

疎外感とネガティブな意識に苛まれる私。

そんな、自分を排除している(自分で勝手にですが)場所に、愛すべきAV女優が踏み出しているなんて!

「アイドルに憧れていましたなんて、ならばなぜ、AV女優になったんだい?」と言いたくなる衝撃を、何人のAV女優から受けたことか。

「まくりん、君の真剣に悶える姿が観たいんであって、歌を歌っている姿を見たいんじゃないんだ!」と心の声が叫ぶ……のだけど、

「でも、俺が応援してほしいよね、まくりん!」と、使命感が湧き上がる。

そして、AVレビューでも、まくりんでやった、イベント取材の記事は、

「これを読んだみんなは、まくりんのイベントに参加したくなるはず!」と懇切丁寧に状況を説明し、自分のワクワクを伝えた。

そして思ったのだ!

「俺は、AVライターとしてまくりんの勇姿をを見届ける義務がある。歌がどうこうとかではなく、あらゆる場所で輝くまくりんの姿を伝えなければ!」

チケット予約サイトに行き、ポチリとチケット購入して、「お気に入り」出演者のまくりんにもポチリ。

ペンライトの大きいのは、ネットで買えばいいか……タオルはどうするんだろう?

そもそもペンライトの大きいのと、タオルは、絶対に持っていないとライブはダメなのだろうか……。

Googleさんに、「AV女優のライブにはタオルを回さなければいけないのですか?」と聞いても、的を得た回答が出てこない(当たり前か)。

AV好きの典型的なインドアで、AVライターを職業とした自分。

そこまで文学とかに興味があったわけではないけれど、「AVを、AV女優の凄さ」を伝えたい衝動で、この仕事についたわけだ。

そんな男が、ライブイベントに行くようになるなんて、時代も変わったな……

客席にいるところを、ファンに見られたらどうしよう……

「まくりん強め推しのDD野郎」とファンは認識しているのだろうか……

「推し」じゃなくて、「注目女優」なんですけど。

「自腹でAV女優のイベント取材!」これだけで、記事になるはずなので、担当者にメールしておこう。

俄然やる気が出たんだけど、初ライブだ……怖い人とかいないよなぁ、ヘビメタとかパンクっぽい人……とにかく騒げば許してくれるだろう、逆にボコられたりして?

でもね、AVライターに必要なのは、「愛だよ、愛!」

 

 

AV女優扉乃まくり(とびらの・まくり)は、「ライブ出演に困惑思案中!?」

「来月、『CUTE BEAT SEXY ALIVE!』に初出演決定しました!」とTwitterに流すと、その反響は大きかった。

「何を歌おう……」

まくりんは、実は、古典から最近のアーティストまで、洋楽も邦楽もパンクが大好きなのだ。

周囲のAV女優仲間と、カラオケに行ったときに、アイドルを歌いながら、「この歌詞大好き!」って言ってる子がいたけれど、あまりそこに注目しない、「圧倒的なサウンド派」なのだ。

ロックインジャパンとサマソニならば、サマソニ派である……今年もこっそり行った。

激しい爆音轟くライブは、高校生のころから行っていたし大好きだし、日常では、iPhoneからの音の洪水に浸りたい。

まくりんは可愛いので、アイドル期待されているのがTwitterのリプライを見ているとよく分かる。

「アイドルかな、やっぱり。坂道とかハロプロなのかな、振り付け無理だけど……でも、本当に歌いたい曲もあるんだよねぇ……」とマネージャーさんに相談すると、

「いいよ、そんなにちゃんと考えなくても。扉ちゃん(マネージャーはなぜかこう呼ぶ)が好きなの歌えば」とあっさり返答するのは、「よもやパンクを歌おうとしている」と思っていないからだろう。

「定期的にライブに出演すると、他の女優のファンが見てくれるから、そこからイベントのファンが増えるかもしれないし、可愛さのアピールは重要かな」

い、言えない……「本当に歌いたい曲はパンク」なんて。

「扉乃まくりは、見た目が華奢で小さくて、どこかに必ずピンクを使う私服を着るこだわりのある子」という不文律を決めたのは、私自身であり、事務所もメーカーもOKしてくれた。

「可愛い女の子が男性は好き」人は100%見た目で判断する。

「でも……こういうファッションで可愛い系のまくりんが、パンキッシュな歌を歌うと可愛くない?」とか考えたり。

ピンクへのこだわりも、「スイートパンク」系のファッションがベースで、自分が、そういう女の子が好きだから決めたし。

「やっぱり、まくりんらしいギャップアピールが良いんじゃないか」

「やっぱり、ルックスからイメージされるまくりんにそぐわないのはダメか」

毎日、どこかで「ふたりのまくりん」が対談をしているようになってしまった。

「アイドルは歌えないよなぁ……酔っぱらったカラオケじゃあるまいし」

「あああああああああ! まくりんはパンクが歌いたい!」と叫びたい衝動に駆られ、結果、その日は、ヒトカラで、「アイドルとパンク」を交互に歌っていた。

歌っている最中、フッと思った。

「なんでAV女優が歌うんだろうか?」

 

 

「なぜ、AV女優がアイドルのようなことをするんだろう」

今回の話をもらい、マネージャーさんと相談の結果、出演を決めたのは自分自身だが、選曲以外にもうひとつだけ、胸がザワザワチリチリしたりすることが、

「なんで、AV女優が歌を歌うの? その歌を聴いてくれる人はどのぐらいいるの?」ということだ。

大昔は、日本でもハリウッドでもフランス映画でも、「俳優や女優が歌う」ことは普通だった。

しかし現在では、そういう活動をしている人はごく一部になった。

需要と供給ってやつだろう。

日本には、「アイドル」というジャンルが誕生した。

アイドルは、「歌も歌うし、お芝居もするし、バラエティにも出る」という、芸能界における十得ナイフのような存在。

アイドルたちは、「将来は女優」「将来は歌手」と言いながら、あらゆる活動をしている。

私が考えるAV女優は、「AVに出て、エロい扇情的な刺激を与え、日々のストレスに潤いを与える」ための存在。

だからこそ、私は、「扉乃まくり」になり、まくりんとして生きる時間を選んだ。

ところが、入ってみて分かったのは、AV女優が、「アイドル」の立ち位置にいるのだ。

私たちを観てくれる人にも善意の目だけではなく、悪意に満ちた視線もあることだったけれど、「アイドル」は予測していなかった。

「AV女優ごときが!」という、上から目線に関しては、それを受け止めることも、AV女優の仕事には含まれていると、個人的には思っている。

「AV女優が何を言っている」

「風俗嬢が偉そうに」

「キャバ嬢に何が分かる」

ここに位置する男性奉仕の仕事をする女子を、あらゆる世間のセクハラと戦い続け、メディアを賑わすフェニミストは、擁護することをしてくれない。

男女どちらからも差別を受ける立場だからこそ、価値がある存在だと認識しているけれど、

AV女優の歌を全面的に擁護してくれるファンがいるし、ミュージシャンからは、「AV女優だからこそのリアリティが存在する」と言ってくれる人がいるらしい。

「ポジティブソングにリアリティを感じさせてくれるのは、その仕事などが共鳴するから」と言ってくれるのはいいけれど、ヒットしたアイドルソングなんて、ほとんどがポジティブを隠れ蓑にした、「病みソング」だと思う。

女子の友達に対して、距離をおいていた自分の学生生活を思い出す。

とはいえ、カラオケにいけば私も、そんな「病みソング」だって歌っていると楽しくて仕方がないけど。

AV女優の歌にリアリティを感じるのは、ファンだったり聴いた人たちの勝手だし、ファンの思いを理解しているけれど、「AV女優が歌う」今の状況に、デッドエンドを感じてしまうのだ。

 

 

 

「AV女優が人から望まれているのはなんだろうか」

AVとは、世の中の刺激対象になって、みんなを興奮させることを目的としている。

「素人娘のスケべな姿」

「アイドルのパロディとか、そっくりさん系」

そこから進化して、「AV女優」として特化した存在が認識されることになったとのことは、この前会ったヘンなAVライターが言っていたのを思い出す。

最近はもっと進化して、リアリティあるスケベな女の子よりも、ファンタジー世界から出てきたような、「夢と理想のエッチを見せてくれる女の子」が選ばれたそうだ。

だから扉乃まくりは誕生できたとも言っていたね、余計なお世話だけど。

「AV女優・扉乃まくり」をより多くの人に知ってもらわなければ、「脱ぎ損、見せ損になるよ」と言われ、「パブリシティ」がついて回る。

SEXをすることでお金を得ている立場ということは、「撮影が終了すれば仕事は終了」だから、売る側の認識に立つことはないはず。

しかし、テレビを観ると、新作映画がかかるとか、次のクールの新ドラマ出演する理由で、女優や俳優が、テレビバラエティに出て、食レポとかしたりする。

有名だろうがそこはやらなければならない時代。

スーパーやコンビニの棚に陳列しているだけでは、物が売れない時代のAV女優は、「自らを外向きにアピールしていく必要がある」と理屈は通るけど、納得はできない。

俳優、女優とは、本質が違うからだ。

もちろん、売れれば延命(まくりんの場合、メーカー専属が延びること)できる。

私はその部分で納得し、イベントをできる限りたくさん開催してもらい、外向きのアピールを繰り返した結果、愛するべき「ファンたち」を得ることができて、直接会えるという幸運に巡り合った。

でも、人気が上がれば上がったで、「さらにファン層を拡大しようね」と、扉乃まくりんを見たことがない人の前にアピールするために、「トークイベント」や、「ライブイベント」に声がかかり、出演する。

トークとか番組的な場合、AV女優は、「エロパート」担当なので、照れたりストレートに答えたりすれば、MCの人がイジってくれて、ある程度成立する。

それこそ仕事の延長戦上に当たる仕事。

ところが、音楽が好きな自分からすると、「ライブイベント」となると、頭の中が、「????」の洪水になってしまう。

アイドルでもロックミュージシャンでも、まず第一に、「自分の衝動を他人に披露したい!」というエネルギーがある。

「家族がオーディションに勝手に応募して……」なんて、盾前を聞くけれど絶対に嘘だと思う。

自分がAV女優になって予想以上に分かったのは、人前で何かをする仕事は、他人の後押しされるだけでは、とても続けられないのだ。

そして、AV女優であっても、アイドルだけでなく、アーティストっぽいことをやっている人たちはいるし、見せてもらったことある。

聴いたことがないジャンルだからこそだが、歌は可愛らしいし、大真面目だし、拙い感じも可愛くて気持ちがいい。

でも、自分がチケットをとって、そのライブに行くのかとなると別の話だし、私の音楽の趣味がある。

「扉乃まくりはAV女優であって、アイドルでもアーティストではない」

「2018年の20代AV女優にとって、アイドル活動をすることは、やはり重要なのだ」なんてことを書いたAVライターがいたけれど、本当にそれが事実なのだろうか。

「来月、『CUTE BEAT SEXY ALIVE!』に出演決定しました!」のTweetには、たくさんのいいねがつき、大勢がRTしてくれている。

「まくりん頑張って!」

「絶対に応援に行きます!」

「まくりん何を歌うの?」

「俺はまくりんの聖子ちゃんが聞きたい!」

思いのほか、反響が大きいのは、「今の時代、AV女優がステージで歌う姿を当たり前に見せているから」だろう。

「やっと念願がかなったね」がチラホラあるのだけど、まくりんは、「アイドルになりたいです」なんて言ったっけ?

自分のTweetを見返したけれど、発見できなかったが、リップサービスで言ったのかもしれない。

「みんなが見たいまくりん」を見せることは、AV女優として、ファンの夢をかなえることだとするならば、AVと同じことだ。

そんな感じで、自分自身を納得させることはできたけど……、

「AV女優が歌を歌う」ってことは、「下手で当たり前」のレベルを突破しなければ、マネージャーさんたちがいう、「他の人のファン」や、「世間へのアピール」にはならない。

可愛いだけで許してくれるのは、まくりんのファンだけだろう。

「これって、アイドルよりもハードルが高くない?」

湯船に浸かりながら、そんなことをボーッと考えていたら、まくりんがステージで歌詞を忘れて、焦りまくる姿が浮かび、思わず飛び上がってしまった。

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AV好きすぎるAVライターとAV嫌いすぎるAV女優

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AV好きすぎるAVライターとAV嫌いすぎるAV女優 case3rd「AV女優にはある日突然、ライバルが誕生する!?」

 

麻雅庵(あさがあん)

5月から、小説「AV好きすぎるAVライターとAV嫌いすぎるAV女優」を書いています。続けていければ幸いです。ちなみに、特定モデルとなるAV女優や、AVライターはおりません。AV業界に居続けしている間に見聞きした人間たちから、いろいろと考えております。これは、小説であることをお忘れなく、よろしくお願いします。

 

麻雅庵(あさがあん)のその他の記事はこちら

 

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